ハワイマネープラン相談室~vol.13 日本に帰国した際に生じる法律的課題、特に「認知症」「信託」「成年後見制度」について
『ハワイマネープラン相談室 〜相続・税務・投資の最前線〜』税理のプロ、内藤 克先生のコラムがスタート!
税理士法人 アーク&パートナーズ 提供
「ハワイマネープラン相談室 〜相続・税務・投資の最前線〜 」の番組が4月よりスタートいたしました。
さらに、毎月、内藤先生が、ハワイにお住まいの皆さんが知っておくべき、お金に関する重要な情報をお届けします。
ぜひお聴きください。
※ 第13回目をお聞きになりたい方は、下の再生ボタンを押すと聞くことができます
今回のゲストには、
インテグラル法律事務所
長家 広明(ながやひろあき)弁護士をお迎えします。
日本に帰国した際に生じる法律的課題、特に「
アメリカではトラスト(信託)が一般的で、財産管理・承継に広く使われている。
日本でも「信託」は導入されているが、法制度的・文化的に浸透していない。
→ 法曹界でも理解が浅く、運用が進んでいないのが実情。
日本の「成年後見制度」とは
- 判断能力を失った成人の財産や生活を保護する制度。
- 約25年前に導入され、裁判所が後見人を選任する。
- 「後見人」は財産管理・身上監護を行うが、実際の介護はヘルパー等が担当。
- 後見人は定期的に裁判所へ財産状況を報告(年1回など)。
2つの後見制度
- 法定後見
- 認知症などで判断能力が失われた後、家族などが裁判所に申立て。
- 裁判所が適任の後見人を選任。
- 任意後見
- 判断能力があるうちに、信頼できる人(弁護士など)と契約を結び、
将来自分が認知症になった際に後見人として任せる制度。 - 裁判所が監督人をつけ、不正を防止。
- 判断能力があるうちに、信頼できる人(弁護士など)と契約を結び、
任意後見の使い方と注意点
- 将来の判断能力低下に備えて、
「私がこうなったらこの人にこう対応してほしい」と契約書に明記しておく。 - 弁護士会などでの紹介制度はまだ整っておらず、
実際には自分で信頼できる弁護士を探す必要がある。 - 認知症の程度によっては裁判所が「まだ能力あり」として申立てを退けることもある。
後見人の実務
- 就任後は本人の全財産を把握し、裁判所に報告書を提出。
- 財産が多い場合は「後見監督人」も選任され、ダブルチェック体制。
- 不正防止のため、裁判所の監督が厳重。
- 判断能力を失うと「遺言」や「贈与」は無効となる。
日米制度の違い
- アメリカ:本人の契約・意思を尊重し、裁判所はあまり関与しない。
- 日本:裁判所と第三者による監督を重視し、透明性を確保する設計。
弁護士選びと相談傾向
- 後見や遺言、家庭内のトラブルなどの相談は増加傾向。
- 特に親族関係が複雑な場合、調整力と人生経験のある弁護士が望ましい。
まとめ
- 日本ではアメリカの「トラスト」に代わる制度として「任意後見制度」を活用できる。
- 日本帰国後に備え、信頼できる専門家と契約しておくことが安心。
- 弁護士は単なる手続き代理人ではなく、「家庭のホームドクター」としての役割が重要。